気候変動への取組みとエネルギー使用
本投資法人及びその資産運用会社であるプロロジス・リート・マネジメント株式会社(以下、「本資産運用会社」といいます。)を含むプロロジス・グループは、世界的な気候変動を科学的事実として認識しており、本投資法人が長期的に持続可能な企業活動を行うにあたって、温室効果ガス(以下「GHG」といいます。)の排出削減をはじめとした気候変動の緩和及び気候変動がもたらし得る運用資産への様々な影響の回避は必要不可欠なものであると考えています。
このような認識のもと、本投資法人及び本資産運用会社を含むプロロジス・グループは、気候変動への対応を企業活動に影響を与える重要課題(マテリアリティ)に位置付けています。
プロロジス・グループのGHG排出管理のアプローチ
プロロジス・グループは、事業価値を拡大しながらGHG排出量の削減を行うことができるように適切にモニタリングを行っており、そのGHG削減目標は、国際的なイニシアティブであるSBT(Science-based Target)と整合しています。プロロジス・グループのGHG排出量は、私達のオフィスにおける直接の事業活動から生じるScope 1及びScope 2、並びにグローバルにおける不動産賃貸事業及び不動産開発事業から間接的に生じるScope 3に分類されますが、プロロジス・グループは、その両方においてGHG排出量の削減に取り組んでいます。同時に、プロロジス・グループは、排出権やグリーン電力証書の取得によって、Scope 1及びScope 2における排出を相殺しています。
2022年に、プロロジス・グループは、2040年までにバリューチェーン全体でGHG排出のネットゼロを達成することを宣言しました。
2040年の目標はスコープ1・2・3を対象とし、以下の中間目標を含みます。
- 2025年までに、1GWの太陽光発電キャパシティ(蓄電分を含む)
- 2025年までに、建築・開発をカーボンニュートラルに
- 2030年までに、事業運営においてネットゼロに
プロロジス・グループのGHGの排出削減は、物流施設を利用するカスタマーの利益にも資するものです。例えば、LED照明の導入支援プログラムによって、カスタマーのコスト削減とプロロジス・グループのScope 3におけるGHG排出量削減を同時に達成することができます。
また、投資法人の保有物件において、2022年よりグリーン電力の導入を開始し、カスタマーの使用電力を再生可能エネルギー由来に順次変更する取り組みを行っております。
再生可能エネルギーの生産・利用
プロロジス・グループは、エネルギー使用量を削減することだけでなく、ポートフォリオの物件上で再生可能エネルギーを生産又は利用することによって、脱炭素社会の実現に貢献しています。プロロジス・グループの運営中物流施設において、太陽光発電設備の導入や電気自動車(EV)充電設備の設置を含む、付加価値のあるエネルギー関連事業を展開しています。2023年12月時点で、16カ国で506MWの屋上太陽光発電を運営中です。
これらの取組みは国連が推進する「持続可能な開発目標(SDGs)7(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)」へ貢献します。プロロジス・グループは、カスタマーへのエンゲージメントをはかりながら、エネルギーや気候変動の先進的なソリューションを開発・導入しています。


日本における省エネルギーの推進
プロロジス・グループは日本において、建物管理会社と共同で、カスタマー利用区画におけるエネルギー使用量を定期的に分析し、カスタマーに対して照明設備・換気設備等の適切な利用についてアドバイスを行っています。また、ブラインドを適切に利用するほか、空調設備の温度を夏は28度、冬は20度に設定することを推奨しています。
TCFDへの取組み
TCFD提言への賛同
プロロジス・グループは、気候関連の情報開示を企業・金融機関がどのように行うかを検討する目的で金融安定理事会(FSB)により設立された「気候関連財務開示タスクフォース」(TCFD)による提言への賛同企業です。また、本資産運用会社は、本投資法人の資産運用会社として2021年9月にTCFD提言への賛同を表明いたしました。
TCFDの最終提言においては、以下の項目について開示することが推奨されています。
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開示項目 | 開示内容 |
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ガバナンス | 気候関連リスク及び機会に関する当該組織のガバナンス |
戦略 | 組織の事業・戦略・財務計画に対して気候関連リスク及び機会が与える実際の影響及び潜在的な影響 |
リスク管理 | 気候関連リスクを組織が識別・評価・管理するプロセス |
指標と目標 | 気候関連リスク及び機会を評価・管理するための指標と目標 |
また、本資産運用会社は、国内の賛同企業等が参加するTCFDコンソーシアムに参加しています。
日本国内における多くのTCFD 賛同企業・団体が参加する同コンソーシアムでは、気候関連課題に関する情報開示のあり方や開示された情報を適切な投資判断に繋げるための取組みが議論されています。
ガバナンス
本資産運用会社におけるESG(気候変動への対応を含みます。以下同じです。)に関する推進体制は、「ESG方針と推進体制」をご参照ください。
戦略
シナリオ分析
本資産運用会社は、気候変動が本投資法人に与えるリスクと機会を把握し、それらが事業に与える影響を検討するために以下の複数のシナリオ分析を実施しました。
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シナリオ | 想定される世界観 | 参照 |
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1.5℃シナリオ | 脱炭素社会を実現するための厳しい規制及び税制等が実施されることで、温室効果ガスの排出量が削減傾向となることを前提としており、物理リスクは低く、移行リスクは高いと想定される |
IEA(注1) NZE2050シナリオ IPCC(注2) RCP2.6シナリオ |
4℃シナリオ | 法規制の強化が進まず、移行リスクは比較的小さく抑えられるものの、世界中の脱炭素に向けた取組みに進展が無いことから自然災害が激甚化し、物理リスクが高くなると想定される |
IEA SPSシナリオ IPCC RCP8.5シナリオ |
- IEA: 国際エネルギー機関
- IPCC: 気候変動政府間パネル
リスクと機会の特定及び対応策
本資産運用会社は、シナリオ分析に基づき、本投資法人の事業に影響を与え得るリスクと機会を特定し、その発生可能性や財務的影響に加え、特定された事象に対する対応策について、以下の通り分析・評価しました。
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発生事象 | 発生可能性 | 本投資法人への財務的影響 リスク管理・戦略 |
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1.5℃ | 4℃ | 賃貸収入 | 賃貸費用 (CAPEX含む) |
その他費用 (資本費用含む) |
不動産価値 (NCF要因) |
不動産価値 (Cap rate要因) |
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移 行 リ ス ク |
政策 ・ 規制 |
炭素税の導入等によって、GHG排出に関する費用が発生する | 中 | 低 | - | 小 | - | 小 | - |
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不動産に対する省エネルギー基準が強化、又は建築物の改修に関する規制が強化される | 中 | 低 | - | 中 | - | 中 | 中 | ||
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技術 | 再エネ・省エネ技術の進化・普及による保有資産のスペックが相対的に劣化または陳腐化する | 中 | 中 | 中 | 中 | - | 中 | - | |
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市場/評判 | カスタマーの需要が変化する(より気候変動への対応が進んだ物件を選択する、または対応していない物件を避ける) | 高 | 高 | 中 | - | - | 中 | - | |
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デット/エクイティ投資家・レンダーの行動が変化する | 高 | 中 | - | - | 中 | - | - | ||
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気候変動への対応が進んでいない物件に対する投資魅力が低下する | 高 | 低 | - | - | - | - | 小 | ||
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物 理 リ ス ク |
急性 | 台風、集中的豪雨、河川の氾濫等による浸水により保有資産が破損する | 低 | 中 | - | 中 | - | 中 | - |
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慢性 | 海面上昇により海抜の低い物件などが浸水する | 低 | 低 | 大 | 大 | - | 大 | 大 | |
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気候変動への対応や自然災害の激甚化により、エネルギー価格/損害保険料/原材料価格が上昇する | 中 | 中 | - | 中 | - | 中 | - | ||
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正の影響(機会)も発生し得る事象
リスク管理
本資産運用会社は、本投資法人のESG関連のリスクを以下のように管理しています。
気候変動リスク全般
前記の気候変動がもたらす重要なリスクと機会については、本資産運用会社のESGコミッティーにおいて議論されました。今後、これらの気候変動リスクは本資産運用会社の各部門及びサステナビリティ担当者によってモニタリングされ、必要に応じてESGコミッティーにて議論が行われます。
新たな不動産投資の判断時
新たな不動産投資を行うにあたっては、デュー・デリジェンスプロセスの一環として、気候変動リスクを検証・検討した上で、投資運用委員会において投資判断が行われます。具体的には、対象物件の浸水被害の可能性につき、ハザードマップをもとに浸水レベル等を調査・確認するほか、グリーンビルディング認証の取得有無、省エネルギー性能や省エネルギー設備の有無等を確認しています。
指標と目標
プロロジス・グループ及び本投資法人は、環境課題への対応をモニタリングするために以下の主要指標(KPI)を設定しています。
プロロジス・グループの指標と目標
プロロジス・グループは、2022年にSBTi基準に則ったGHGの排出削減に関する新たな目標(2019年基準)を設定しました。
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ネットゼロ目標 | 達成年度 |
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Scope 1 & 2 | 2030年 |
Scope 3 | 2040年 |
本投資法人の指標と目標
本投資法人は、環境負荷の低減に向けた主要指標(KPI)を以下の通り設定しています。同指標はGHG排出量の削減に資するものです。
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目標 | 達成年度 |
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太陽光発電システムを合計75MW導入 | 2030年 |
LED照明の導入比率を100%に(冷凍冷蔵区画除く。面積ベース) | 2030年 |
グリーンリース契約比率を70%以上に(面積ベース) | 2026年 |
適格グリーンプロジェクト比率95%以上を維持(取得価格ベース) | ― |